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August 24, 2016

2948.八月納涼大歌舞伎

Imgp0002_1_640  毎年8月の歌舞伎座は「納涼」と称して、若手を中心とした演目が上演される。
 また、3部制にして、新しい試みや演出による演目が並ぶのも恒例である。
 
Kabukiza_201608poster_640  今回は、その第一部のチケットをいただいたので、11時開演の歌舞伎座に駆け付けた。
 
 最初の演目は「嫗山姥(こもちやまんば)」、近松門左衛門が書いた人形浄瑠璃の歌舞伎化である。
 
 謡曲「山姥」を基に、源頼光が碓氷定光や卜部末竹、坂田金時を家来にする経緯や、彼ら四天王が活躍する全五段の浄瑠璃で、1712(正徳2)年に大坂・竹本座で初演された。
 
Imgp0003_1_640  歌舞伎では、二段目「兼冬館(かねふゆやかた)」だけが上演されるが、今回も武智鉄二の補綴で「岩倉大納言兼冬公館の場」として見せる。
 
 主人公は荻野屋八重桐(中村扇雀)、後に坂田金時の母となる人物で、物語はその誕生前日譚として展開する。
 
 大坂の廓で全盛をきわめた傾城・八重桐、惚れた男・坂田時行(中村橋之助)が親の敵を求めて出奔、行方知らずに。
 偶然、兼冬公館で煙草屋に見をやつした坂田に出会う。
 
 古風な紙衣(かみこ)姿で、廓の事や坂田に惚れ込んだ話を、館の主・沢瀉姫(坂東新梧)に語る「仕方話」、ここがこの演目の最大の見どころである。
 
Imgp0015_640  歌舞伎では、「しゃべり」を竹本が語る演出が普通だが、1938年(昭58)年の近松座で坂田藤十郎が初演した時、竹本と掛け合いでしゃべり、三味線にノッて動く型を演じた。
 
 今回は父・藤十郎の演じ方を受け継いだ扇雀が、歌舞伎座ではじめて八重桐を見せた。
 
 物語は、自害した坂田の子を宿した八重桐が山姥となって荒れ狂い、姫や坂田の敵を追い散らすところで終わる。
 その山姥から生まれた子が、頼光の家来・金時である。
 
Imgp0004_1_640  二つ目の演目は「権三と助十」、岡本綺堂が1926(大正15)年に書いた「大岡政談」の番外編。
 政談では脇に回っている駕籠かき二人を主人公にした、江戸っ子堅気を描くせわものである。
 
 舞台は、神田橋本町の六郎兵衛長屋。
 真夏の井戸替えの日、もと長屋の住人・彦兵衛の倅(中村壱太郎)が、大坂からやってきた。
 隠居殺しの嫌疑で捕えられ、牢死した父の嫌疑を晴らすためである。
 
Imgp0018_640_2  実は駕籠かきの二人、権三(中村獅童)と助十(市川染五郎)は、犯行の日に怪しい男(片岡亀蔵)を目撃していた。
 一計を案じた家主の六郎兵衛(坂東弥十郎)、倅と駕籠かき二人を縛って南町奉行・大岡越前守に差し出したのだが・・・・。
 
 喧嘩早いが人情に厚く、貧しいながら助け合って暮らす江戸っ子の姿が生き生きと描かれていく。
 長屋の井戸替え、大人子供も交えて50人近くが舞台に現れ観客も大笑い。
 
 
Imgp0005_1_640  「八月納涼歌舞伎」は、第二部が市川猿之助演出の「東海道中膝栗毛」と、
 常磐津舞踊「艶紅曙接拙(いろもみじつぎきのふつつか)」。
 
 弥次郎兵衛(市川染五郎)と喜多八(市川猿之助)の宙乗りと、中村橋之助の舞踊がみどころ。
 
Imgp0016_640  第三部は、河竹黙阿弥作「土蜘蛛」と、新作歌舞伎「廓噺山名屋浦里(さとのうわさやまなやうらざと)」。
 
 新作歌舞伎は、落語家の笑福亭鶴瓶が昨年口演した人情噺が発端。
 その噺を聞いた中村勘九郎が、舞台化を試みたもの。
 原作は上方落語作家くまざわあかね、演出・今井豊茂。

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