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October 13, 2016

2964.10月のシネマ(2)

1370869976_640  「切羽へ」('08)で直木賞を受賞した女流作家・井上荒野55歳、戦後文学の旗手として数多くの作品を残した井上光晴の長女でもある。
 
 成蹊大学卒業後小説を書き始めたが行き詰って中断、40歳になって再起し島清恋愛文学賞(「潤一」'04)、直木賞、中央公論文芸賞(「そこへ行くな」'11)を受賞した。
 
10drj30297_640  男と女の間に漂う微妙な空気感を、丁寧に綴る実力派作家として知られるが、彼女が書いた短編小説「帰れない猫」が韓国で映画化(「愛してる、愛してない」'11)、続いて長編小説「つやのよる」('13)が日本でも映画化されている(ブログ2239号'13.2)。
 
 今号で紹介する「だれかの木琴」は井上小説3本目の映画化で、日本映画界の最長老のひとり、ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した(「絵の中のぼくの村」'96)東陽一(82歳)が監督・脚本・編集を務めた。
 
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   「だれかの木琴」
 
 平凡な日々を過ごしてきた主婦(常盤貴子)が、引っ越してきた新興住宅街で出会った美容師(池松壮亮)。
 
356341_002_640  彼の指が彼女の髪を漉いた時、女の心には抑えきれない執着が生まれた。
 
 衝動?恋?欲望?心の隙間に入ってきた彼への執着が、夫(勝村政信)や中学生の娘、そして美容師の恋人(佐津川愛美)までの日常を狂わしていく。
 
356341_003_640_2  常盤貴子が、心の奥底に抱える孤独と葛藤を、リアルに、狂気の匂い立つようなエロスで繊細に演じる。
 美容師へのストーカー行為がエスカレートしていくにつれ、彼女の表情が生き生きと輝きをましていくところが凄い。
 
356341_005_640  閉鎖した現代社会で、孤独を癒すためにSNSにのめり込む人たちは多い。
 そのSNSを小道具として、捻じれえていく女と男と世界がスリリングに描かれていく作品。
 
 かって「もう頬づえはつかない」('79)「四季・奈津子」('80)「化身」('86)など、女性映画の旗手といわれた東陽一が、6年ぶりに撮った「女性映画」である。
 

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