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October 22, 2016

2967.10月のブックから

Imgp0002_640  母校である広島大学の学長、越智光夫さんから一冊の本をいただいた。越智さんは学部は違うが、15年後輩である。
 
 「広島大学は世界トップ100に入れるのか」(PHP新書)、ノンフィクション作家の山下柚実が、越智学長や相田副学長、イグ・ノーベル賞を2回も受賞した小林教授らへのインタビューを中心にまとめたものである。
 
4943_640  少子化で大学に進む若者の数が減るなか、国家財政状況の悪化で大学への運営費交付金は減少している。
 そんな中で国立大学も法人化され、それぞれが生き残り戦略を模索している時代となった。
 
 一方、文部科学省は2年前に「スーパーグローバル大学創成支援」制度をスタートさせ、先導的試行にに挑戦し国際化をけん引するなど、徹底した大学改革を進める大学を重点的に支援することにした。
 
Img091003112405_p_640  とくに「世界ランキング100位」以内を目指す可能性がある大学を、「トップ型」として選考した。
 
 北海道大・東北大・筑波大・東京大・名古屋大・京都大・大阪大・広島大・九州大・東京工大・東京医科歯科大の国立11校、早稲田・慶応の私立2校、計13校に年間最大5億円という大型補助金を出している。
 
Img_3891s_640  これを受けて広島大の越智学長は記者会見で、「10年以内にランキング100位以内、さらには100年後にも世界で光り輝く大学であること」、そして平和科目を必修とする唯一の大学として「平和を希求する国際的教養人を輩出」することを、公約として発表した。
 
 「世界大学ランキング」は、各国の大学評価機関やメディアがそれぞれ指標をもとに毎年発表しているが、イギリス「タイムズHE社」と「トムソン・ロイター社」が共同して選定する「THE」が有名である。
 
 大学の評価指標は、「外国人教員」「留学生在籍数」「論文被引用数」「教育環境」「研究収入」など13項目があり、特に「THE」では「教育に対する評判」「研究に対する評判」など各国の学者に対しての聞き取り調査を行い、30%を配分している。
 
 そうした配分から「英語圏」の大学が有利なのは当然で、今年のトップは5年連続でカルフォルニア工大、2位オックスフォード、3位スタンフォードと、欧米の大学がトップ10を独占している。
 そして日本では、東大が前年の23位から大きく後退して43位、京大は59位から88位と順位を落とした。
 
 さらに残念なことは、200位以内には日本の大学は見当たらず、広島大学は国内で12位、世界では500~600のランクに留まっている。
 ただ「論文被引用数」は国内5位と、世界ランキング100位に手が届きそうな高い水準にあった。
 
 つまり「大学の研究活動そのものの水準は高いが、国際化など教育環境や資金調達などで、大きく水をあけられているのである。
 
300pxhiroshimalsuniv_640  広島大学は旧帝大ではなく、東京と広島だけにあった官立文理科大と高等師範をベースに設置された新制大学である(もう一つが筑波大)。
 
 当時県内にあった師範学校や工専・医専を加え、現在では11学部11研究科を擁する国内有数規模の総合研究大学となった。
 
 学生数は院生を加えると1万5千人強、教員数も1.600人を超える。
Dsc07986s_640_2  東広島市に250万㎡という広大な敷地を持ち、本部・教育・文学・理学などの各学部を配するほか、広島市内に法・経(2部)や医学部が置かれている。
 
A01_01_02_05_j_01_640  新制大学の初代学長に就任したのが元文部大臣の森戸辰男、以後13年にわたって学長を続け、今日の大学の「アイデンティティ」を創り上げた。
 
Edcgttqw_640  それを象徴するのが、清新な生命とフェニックスの葉を図案化した「学章」で、原爆で廃墟となった広島に新たに生まれた大学のシンボルとなった。
 
 フェニックスはエジプト神話に登場する不死鳥、自分の身を焼き灰の中から新たな生命を持って蘇る鳥である。
 
Imgp0004_640  私は大学10回生である。森戸学長の著作に惹かれて、広島を選んだ。
 
 学生時代は「セミナー」や「団交!」の場で、卒業後もお宅が近かったこともあってたびたびお邪魔し、亡くなるまで教えを受けた。
 また森戸さんが学長退任後、NHK学園初代校長に就任したご縁もあった(写真は頂いた揮毫)。
 
Forum347_640  100歳までは生きると宣言した森戸さんだったが、残念ながら96歳で逝去された(写真は退任した森戸さんを送る学生たち)。
 
 12代学長・越智光夫さんから送られてきた「広島大学は世界トップ100に入れるのか」を読み、往時を偲びながらも越智学長を始めとする先生方の「ミッション」にかける強い意欲に、大きな希望を見た。
 山下柚実著「広島大学は世界トップ100に入れるのか」(PHP新書)、税別780円。

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