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November 22, 2016

2976.11月のシネマ(3)

 ナチス・ドイツの残虐性、アウシュヴィッツのホロコーストを題材にした映画は、毎年のように製作されている。

 今年だけでも、これまでブログで紹介した作品は7本にのぼる。

Sugi1512_640  ユダヤ人にビザを与えて逃した、在リトアニアの日本外交官を描いた「杉原千畝」(ブログ2871号・1.09)。
 ナチスがユダヤ人から略奪した美術品、それを奪い返す物語「黄金のアデーレ」「ミケランジェロ・プロジェクト」(2872号・1.12)。
 アウシュビッツで虐殺された作家の遺作、「フランス組曲」(2878号・1.30)。

200_640  アウシュビッツに囚われた男のレジスタンス、「サウルの息子」(2882号・2.10)
 ナチスの将校アイヒマンを裁く法廷の中継、「アイヒマン・ショー」(2919号・5.30)
 現代にタイムスリップしたヒトラーと、彼を迎える大衆を描いた「帰ってきたヒトラー」(2950号・8.30)。

 そして今号で紹介する「手紙は憶えている」が、8本目となる。

20160125110025_640_2  以上の作品の中で、見る人に最も衝撃を与えた傑作が「サウルの息子」と「手紙は憶えている」の2本。

 前者はポーランド・アウシュビッツを舞台にした1940年代の物語、後者はカナダとアメリカを舞台にした現代の物語である。

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  「手紙は憶えている」
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 原題は「REMEMBER」、このタイトルには二つの意味が込められている。
 ひとつは目覚める度に失う記憶、もうひとつは決して忘れられないアウシュヴィッツの記憶。

357968_004_640  愛妻を失ったことも忘れてしまった、認知症の主人公(クリストファー・プラマー)は90歳。

 体の自由を失った友人(マーティン・ランドー)から、大切な家族を殺された敵を討ってくれと頼まれる。
 友人は、数少ないアウシュヴィッツの生き残り仲間である。

357968_003_640  復讐を忘れないように友人から託された手紙を頼りに、男は老人ホームを抜け出し、絞り込んだ4人の容疑者を求めて旅にでる。

 一人目は元ドイツ兵士(ブルーノ・ガンツ)だったが別人、二人目は同性愛者として収容されていた男、三人目は陸軍の料理人だったヒトラー信奉者、しかしもう亡くなっていた。
 そして四人目は・・・・・。

357968_007_640  次々と起こる予測不可能な展開が、この復讐の旅の謎を増幅していく。
 彼の記憶にかすかに残る「クリスタル・ナハト」、彼のピアノの腕が覚えている「ワグナーの旋律」、衝撃的なラスト5分に観客は沈黙する。

 監督は、カナダで活躍するエジプト出身のアトム・エゴヤン(「スイートヒアアフター」'97でカンヌ・グランプリ)。
 練りに練った脚本はアメリカ出身のベンジャミン・オーガスト、TVプロデューサーの彼はこの作品によって脚本家デビューした。

357968_006_640_2  主人公を演じたクリストファー・プラマーは、「人生はビギナーズ」('10)で史上最高齢のオスカーを受賞したカナダの名優である。

 また友人役のマーティン・ランドーは、「エド・ウッド」('94)でオスカーを受賞したアメリカの演技派。
 容疑者のひとりを演じたブルーノ・ガンツは、「ヒトラー最後の12日間」('05)でアカデミー賞にノミネイトされたスイスの名優である。

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