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November 26, 2016

2977.国立歌舞伎

Imgp0002_640  1966(昭和41)年に開場した半蔵門の「国立劇場」、今月で満50周年になる。
 これを記念して先月から三か月間、義太夫狂言の大作「仮名手本忠臣蔵」の全段が、完全通し上演されている。
 
Imgp0003_640  赤穂浪士の討ち入り事件を題材にした作品は、1748(寛延元)年夏に大坂竹本座で人形浄瑠璃として初演されたが、早くもその年の暮れには大坂嵐座で歌舞伎化、翌年には江戸・三座(森田座・市村座・中村座)でも上演され大当たりを記録した。
 
Img044_640  以来今日まで数多く上演されてきたが、江戸時代には「必ず大入りになる」「芝居の独参湯(どくじんとう)」(起死回生の特効藥)と呼ばれてきた。
 
 同じ事件を題材にした真山青果の「元禄忠臣蔵」は、浅野内匠頭・吉良上野介・大石内蔵助と実名が登場するが、「仮名手本」の方は幕府の干渉もあって室町時代の「太平記」の世界に仮託して描かれている。
 
 つまり「主君・塩冶判官(えんやはんがん)の無念を晴らすために、大星由良之助(おおぼしゆらのすけ)を始め浪士たちは、敵の高師直(こうのもろのう)を討ち果たす」という物語である。
 
Img041_640  11段にわたる物語には、浪士たちの苦難や、浪士の夫や恋人を想う女性たちの心情、周囲の武士や町人の苦衷も描かれており、観る人の心を捉えてきた。
 
 先月の上演は、物語の発端から判官(中村梅玉)の切腹、由良之助(松本幸四郎)が討ち入りを決意するまでの幕。
 
 大序「兜改め」、二段目「桃井館」、三段目「松の間刃傷」、四段目「判官切腹」「城渡し」と続くが、二段目と三段目の「裏門」はこれまで省略されてきた演目である。
 
Imgp0005_640  さて今回鑑賞した「第二部」は、役者が代わって由良之助を中村吉右衛門が演じるとあって、彼の大ファンである連れ合いと同伴した。
 
 物語は、塩冶浪士のその後。
 早野勘平(尾上菊五郎)と恋人おかる(尾上菊之助)が辿る運命の悲劇、師直への復讐の機会を窺う由良之助の苦衷が描かれる。
 
Img042_640_2  最初の幕は、浄瑠璃「道行旅路の花聟」。
 三段目「裏門」を書き換えた所作事で、主君の大事に居合わせなかった勘平が、おかるとともに落ち延びていく姿を、清元の名曲で綴られる。
 
 五段目は「山崎街道」、朋輩の千崎弥五郎(河原崎権十郎)から討ち入り計画を聞く勘平。
 その資金50両をめぐり、斧定九郎(尾上松緑)にだまし取られるという悲劇が展開し、六段目「勘平腹切」では舅を誤って殺したと思い込む勘平の複雑な心境を、菊五郎が極上の演技で見せる。
 
 おかる(中村雀右衛門)が、遊女として働く祇園の廓を舞台にしたのが、七段目「一力茶屋」。
 おかると兄の足軽・平右衛門、中村又五郎が初役で熱演、兄妹の情が大きく盛り上がる。
 
Img043_640  七段目は、討ち入りという由良之助の真意が、登場人物たちとの会話を通して、次第に明らかになっていく幕である。
 「忠臣」としての性根と廓で遊ぶ男の色気、吉右衛門の演じ分けが見どころである。
 
 なお来月は「第三部」、討ち入りを陰から支えた人物たちのドラマと、浪士悲願達成となる十一段目「高家討ち入り」で大円団となる。
 12月の大星由良之助は、中村梅玉が演じる。
 

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