2980.12月のシネマ(1)
その結果、挑戦者は渡辺に負けた丸山忠久九段に替り、先週函館で第5局が行われた。
幼少の時「ネフローゼ症候群」に罹り、療養所の院内学級で過ごす。
入院中に父親から教わったのが「将棋」、市内の将棋道場で腕を磨き「中国こども名人戦」で4大会連続優勝、中学11年の時に大阪の森信雄(後に7段)の門下生となった。
そして4年後に17歳でプロデビュー、奨励会入会から2年11か月でのプ入りは谷川浩司や羽生善治を超える異例のスピードとして注目された。
日本将棋連盟は、逝去の翌日付で「無冠の棋士」村山の功績を讃えて、九段位を追贈した。
村山の死後2年、彼の東京での身元引受人だった「将棋世界」の編集長・大崎善生が書いたノンフィクションが「聖の青春」。
先月公開された同名映画はフィクションと断ってはいるものの、主人公の村山聖を始め羽生善治など多くの人物が実名で登場している。
「聖の青春」
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公開された作品で話題を呼んでいるのは、宿命のライバルを演じている二人の俳優である。
監督の森義隆はこれを知ってオファー、松山はネフローゼで太っていた村山の体型に合わせて20キロも増量、生き急ぐ切迫感を三白眼の鋭い目の動きで演じる。
配役は難航したが「将棋が好きだから出たい」と、羽生ファンでもある東出昌大が手を挙げた。
クライマックスは、最後の対局となった1998年のNHK杯戦決勝のシーンである。
森監督は、松山と東出にその闘いの棋譜を暗記させて、駒を並べるところから決着がつくまでの全ての差し手を2時間半の長回しで撮った
「静」の世界が、これほどまでダイナミックに映し出されるのは、二人の演技の賜物といえる。
今年の東京国際映画祭で公式クロージング作品として上映された。
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