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February 13, 2017

2998.2月のブックから

416hi6ljo4l__ac_ul320_sr224320_ 集英社が、創業90周年を記念して2年前から刊行している「冒険の森へ 傑作小説大全」。
 
 昨年秋ごろから読み始めたが、若いころ手にした作品の再読を含め新鮮な読後感を抱く。
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 この「全集」は、2000年以前に発売された小説の中から「本当に読んでもらいたい小説」を、ジャンル・出版元を問わず選んである。
 選考委員は、逢坂剛・大沢在昌・北方謙三・夢枕獏・船戸与一(故人)の5氏。
 顔ぶれから「冒険小説」「ハードボイルド」「ホラー」が多いが、純文学も含め長編36作品、短編・ショートストーリー254作品が、20巻に収録されている。
41rr0ntmxql__sy291_bo1204203200_q_2 刊行はアトランダムなので、こちらも発行順など意識せず読んでおり、これまでに「疾走する刻」(20巻)「漂白と流浪」(1巻)「復活する男」(11巻)「格闘者の血」(14巻)「飛翔への夢」(13巻)を手にした。
 そして今週読み切ったのが、「背徳の仔ら」をテーマにした第3巻である。
Img_0_640_3 今号のメイン(長編)は、黒岩重吾の「裸の背徳者」と大藪春彦の「野獣死すべし」。
 大学時代と就職した初めのころ、夢中になって読んだハードボイルド作品である。
Memory_00000506_m_640 黒岩重吾(1924~2003)の作品、はじめて読んだのは直木賞を受賞した「背徳のメス」、安保闘争でデモを繰り返していた最中に読んだ記憶がある。
51tn8v28acl__sl160_ 大阪・釜ヶ崎を舞台に、産婦人科医を主人公にしたサスペンスだったが、「裸の背徳者」は舞台もストーリー展開も。全く異なる作品である。
 同志社大学在学中に学徒出陣し、北満のソ連国境に従軍した体験から、落伍した兵士たちの生々しい「生」と「性」の渇望が描かれる。
 そこには、何が正義で何が邪悪か考える余裕もない、モラル無き戦いが綴られる。
Scan10020_640 大藪春彦(1935~1996)が、早稲田大学在学中に同人誌に発表したのが「野獣しすべし」。
 1958年に雑誌「宝石」に転載されて、ハードボイルドの新星として反響を呼んだ作品である。
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 文学・音楽・スポーツ・銃器や自動車ノメカニズムなど、大藪が内部に貯えた知識や興味が盛り込まれている。
 今回は、翌年「週刊新潮」に連載した「復讐編」も合わせて掲載されている。
Top_640 なお短編は、「鬼畜」(松本清張)「骨餓身峠死人葛」(野坂昭如)「問題外科」(筒井康隆)「南神威島」(西村京太郎)「白い罌粟」(立原正秋)と豪華なメンバー。
 ショートストリーも、川端康成・小酒井不木・久生十蘭・皆川博子・赤川次郎という顔ぶれ。
 集英社刊「冒険の森へ」第3巻「背徳の仔ら」、定価本体2800円。

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