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February 01, 2017

2995.2月のシネマ(1)

120124_hyugo_640_2  マーティン・スコセッシ74歳、アメリカの映画監督・脚本家・プロデューサー。
 イタリア系アメリカ人、マフィアが支配するシチリア移民社会で幼少を過ごした。
 
 子供のころから映画に親しみ、イタリアのロベルト・ロッセリーニ監督作品やフランスのジャンルノワール監督作品、日本の溝口健二監督作品などを見て育つ。
 
 ニューヨーク大学映画学部時代は、今村昌平・小林正樹・黒澤明監督らの作品を研究し、その映画手法を学んだ。
 
Yjimageb0eaojr2_640  そして卒業制作を基にした「ドアをノックするのは誰れ?」('67)を発表して注目を集めた。
 
 1976年、ジョディ・フォスターを有名にした「タクシー・ドライバー」を監督してカンヌ国際映画祭の最高賞パルム・ドールを受賞、監督としての地位を確立する。
 
_640_2  以後、「アフター・アワーズ」('85)でカンヌ・監督賞、「グッドフェローズ」('90)ヴェネツィア・銀獅子賞、「ギャング・オブ・ニューヨーク」('02)ゴールデングローブ・監督賞、「ディパーテッド」('06)でアカデミー賞監督賞を受賞した。
 
Yjimagermsh3q47_640  スコセッシ監督の作品のほとんどが、生まれ育ったニューヨークを舞台にしている。そして幼少時の環境からか、ナマナマしいリアルな暴力描写が描かれる。
 
 その彼が、初めて日本を舞台にした作品を制作した。
 今号で紹介する「沈黙」、「Silence」である。
Img060_640              
            「沈黙」
.
 原作は、遠藤周作が1966年に書き下ろした同名小説。
 17世紀の日本の史実、歴史文書に基づいて創作した歴史小説で、戦後日本文学の金字塔といわれる作品である。
 
23962_640_2  1971年には遠藤も脚本を担当して、篠田正浩監督の手で映画化されている。
 
 今回はそのリメイクというより、28年前に原作を読み映画化にトライし続けたスコセッシ監督の、執念の作品といえよう。
 
Releasedphotocreditkerrybrown_640_2  舞台は、キリシタンへの弾圧が激しさを増した江戸時代の初め。
 ポルトガルの司祭ロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)は、キチジロー(窪塚洋介)の手引きで長崎に潜入する。
 
358205_008_640  そこで見たのは、壮絶な拷問を受ける隠れキリシタンたち(塚本晋也、加瀬亮ほか)。
 彼もまた、キチジローの裏切りで捕らえられ、棄教を迫られる。
 
 加えられる迫害と彼らの懸命な祈りに対して、沈黙する神に司祭は苦悩する。
 貧困や格差、宗教や文化の衝突を通して、人間の強さや弱さ、信じることの意味、生きることの意味が問われる。
 
358205_006_640_2  主役はガーフィールドが演じる司祭だが、キリストに対するユダの様に裏切りを繰り返す窪塚のキチジローが陰の主役として重きをなす。
 
 また元キリシタンだった長崎奉行・井上筑後守を演じたイッセー尾形が、残忍さと柔和さを併せ持つ難解な人物を見事に演じていた。
 
063bd9e1b9cadda072067cff3e95b505_64  当時の風景を求めて、ロケは台湾で行われたが多くの日本人スタッフが参加している。
 出演はほかに、先任神父役リーアム・ニーソン、殉教した司祭にアダム・ドライヴァー、通辞に浅野忠信。
 
358205_004_640_3  主役のモデルとなったのはシチリア出身の実在の神父セバスチャン・キアラ、棄教後は岡田三右衛門を名乗り、妻帯して小石川のキリシタン屋敷で83年の生涯を終えた。
 
 シチリア系移民の子孫で、カソリック教徒のスコセッシ監督ならではの結末が描かれる。
 作品は、今年のアカデミー賞撮影賞にノミネイトされた。
 
 

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